花を探しに

2021年4月2日

 

葉の奥に残る椿の一輪は薄きピンクの凛として顕つ

雨あがりの遊歩道に匂ひたつ雪柳の叢今盛りなり

川べりに見事に咲き添ふ雪柳手折らむとして耳元に声

一本の椿ようやく咲き終へて午後の陽を浴び落花を待ちぬ

びっしりと椿の花の役終へてひとつ残らず色褪せにけり

艶やかな髪にそよ風春の陽や低く語れる母の肩越し

いつまでも語り尽くせぬ母二人春の陽だまり温めてゆく

帰り道花の勢い変はるらし語り尽くした母の眼に